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日本の産業用大麻の栽培について
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参照項目:
See also: 繊維、食物、燃料マリファナ宗教法律
Hemp harvest in Miasa Mura, 
Nagano prefecture
Hemp harvest in Nagano

日本の産業用大麻の栽培について
(By Yoshiyuki Akahoshi)

1998年後半から大麻の認知度が高まる

数年前から、日本で大麻に関する情報が多くの人に知られるようになった。 それには、主に3つの要因がある。1つは、日本初の大麻料理店が東京の 下北沢で98年8月15日に開店したことである。 その名は、カフェ・レストラン「麻」。下北沢という地域は、いつも若者で賑わっている。 その町は、個性的な店がたくさんあるところで知られている。 カフェ・レストラン"ASA"は、前田氏が経営している。 その町で、 3年前から「大麻堂」という名前の大麻専門雑貨屋も前田氏がはじめた。 店の雰囲気は、和風である。従来から大麻にありがちな怪しくて奇妙な雰囲気ではない。 このカフェレストランは、大麻種子を食べることができる珍しいところである。 それゆえ、それは、日本の様々な雑誌やラジオやテレビに登場している。 又、この店は、インターネットを利用してホームページを開設している。 それは、日本の大麻情報が手に入る貴重な場であり、とても人気のあるホーム ページである。料理は、次のようなものがある。大麻ピザ、大麻スパゲティ、大麻 パン、大麻コロッケ、大麻豆腐、大麻ミルク、大麻ハンバーグ、大麻アイスクリーム、 大麻のおかゆ大麻ドレッシングを使った野菜。様々なメニューには、すべて 「大麻種子」が使われている。 日本は、諸外国に例を見ない世界のありとあらゆる料理が食べることができる グルメな国である。しかし、この店ができるまでは、大麻を食べる機会が全くなかった。

2つ目は、テレビで放映されたことである。 それは、98年11月15日のことだった。 その番組は、毎週日曜日に世界中の環境問題への取り組をわかりやすく紹 介している。その番組は、「大麻が地球を救う」というタイトルで30分間放映さ れた。番組の内容は、たいへんわかりやくできていた。 例えば、大麻が歴史的に紙や繊維作物として使われていたこと、それが麻薬 として規制されたこと、戦争中アメリカで栽培が奨励されたこと、 ヨーロッパやオーストラリアで90年代から産業用への研究が進んできているこ と等が紹介されている。又、ヨーロッパの12%の農地で大麻を栽培すれば、 世界の紙の需要をまかなえることも紹介した。 但し、日本で大麻は、法律で規制された植物である。 そのため、番組の最後にこれらの海外事例の話は、マリファナ効果のない産 業用大麻であることを強調していた。 この番組はどれぐらい影響力があったのか?この番組の視聴率が約10%で あった。このことは、日本人の約1千万人がそのテレビ番組を見たことを示し ている。私は、大麻についての認知度が急激にあがったと考える。

3つ目は、自然派化粧店であるザ・ボディショップが大麻種子のオイル使用の 化粧品を98年12月末から発売したことである。ザボディショップは、発祥地の イギリスの次に日本で売上げを伸ばし、その店舗数は120を越える。 その店は、若者の自然及び健康志向に適しており、とても人気がある。 その店がヘンプを取り上げたのはかなりのインパクトであった。 発売した時から大麻の葉のポスターが店頭やショーウィンドーに飾ってあった。 店前を通るだれもがそのポスターに注目したであろう。 大麻を使用したリップクリームやスキンケアは、予想以上の人気となった。 これまで述べた3つ以外の要因もある。 それは、アパレル業界において麻製の衣服、帽子、小物が流行として広がった ことである。今では、衣服店は、ジーンズやTシャツに麻と綿の混紡を売っている。 すべての衣服がそうなっているわけではないが、確実に麻製のものが増えつつ ある。 それから"THE GREAT BOOK OF HEMP"の日本語訳本が98年6月に発売された。 この本は、大麻のすべてを知ることができる貴重な情報である。

日本での栽培の現状
縄文時代といわれる1万年以上前から繊維作物として栽培されてきた実績 がある。その時代の遺跡からは、当時の人が大麻の服を着て、実を食べて いたことが明らかにされている。残念ながら、日本から大麻についての情報 があまり発信されていない。そのため、世界中の多くの人は、日本人と大麻 の深い関係について知らない。 大麻は、衣服や食用としての利用だけではない。 例えば、日本の伝統的なスポーツである弓道の弓の糸、大相撲の化粧綱が ある。大麻は、靴として多くの人が履いていた下駄の緒、様々な縄、紐、糸と して利用されてきた。さらに、それは、日本人の主食である米の保存袋とし て利用され、そして神社の宗教行事に不可欠なものであった。 ところが、1948年に第二次世界大戦後のアメリカ占領下のGHQのもとで大麻 取締法が制定された。 その結果、大麻を栽培するために毎年、県知事の交付する免許が必要となった。 免許制度によって、農家は、大麻を栽培することが麻薬をつくることと同じと感 じた。それから、戦後の石油由来の生活用品の普及によって、植物由来の大 麻製品は、次々と姿を消していった。 そして、大麻を栽培する農家が徐々に減少した。 日本の大麻農業は、1950年に繊維収穫と種子収穫の合計作付面積が4049.2ha であり、25,118人の規模であった。 しかし、今日では、農水省によると1996年の作付面積がたったの12.4haである。 ちなみに東京から50キロ北部の栃木県が12.0haである。 大麻の農家は、102人しかいない。(1999年1月1日現在厚生省医薬安全局麻薬 課より)今日の大麻の栽培規模では、その生産物は、弓の糸、宗教儀式、民芸 品としてごくわずかに使われている。まさに大麻は、50年間で絶滅の危機にあ る栽培種となっている。

日本の大麻取締法について
この法律は、麻薬に関する5つの法律の一つとして政府によって位置づけられ ている。その5つの法律は、以下の通りである。 ・麻薬及び向精神薬取締法 ・大麻取締法(1948年制定) ・あへん法 ・覚せい剤取締法 ・1991年の麻薬新条約に対応する特別な事例の法律

大麻取締法は、欠陥法律といわれている。 なぜなら、第二次世界大戦の直後の混乱時期だったのため十分に国会で 審議できていないからである。具体的には、取り締まる大麻の品種の定義 が間違っている。もし、大麻を麻薬として取り締まるのであれば、カンナビス ・サティバ・インディカという品種を法律に明記すべきである。 ところが、法律の条文に書いてあるのは、主に繊維作物として利用されてい るカンナビス・サティバ・Lだけである。さらに、驚くべきことがある。 それは、法律の目的がいっさい書いていないことである。これは決定的な 欠陥法律である。私たちは、この法律によって、大麻の所持で逮捕される。 そのときに大麻の品種がインディカであるかエルであるかは全く関係がない。 それは、THCの有無によってのみ判断される。さらに、医者が大麻を医薬品 として使おうとした時、この法律は、医者の施用、患者の利用の両方で規制 している。もし、日本で医者が大麻を薬に使うならば、まずは、彼が大麻の免 許を取得し、それからその薬を自分に投与するしかない。 なんともばかげた話である。大麻に関心のある人にとって、この法律は、明ら かに矛盾している。しかし多くの市民は、大麻を麻薬として思いこんでいる。 多くの人にとって私には関係ないという意識のため、法律を撤廃しようという動 きはほとんどない。この現行の法律で、幸いにも大麻栽培は全く禁止されてい ない。当時の農水省は、大麻取締法についてGHQと交渉した。 その結果、大麻栽培は、GHQ原案の全面禁止から免許制になった。 大麻は、当時の日本人の生活に不可欠な農作物であった。 条文には、「大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く)を除く」とある。 つまり、大麻の種子や茎の繊維の利用は、特に問題がないのである。

日本で大麻を栽培するには?
県知事が交付する大麻取扱者免許を必要とする。 大麻取扱者免許には、2種類ある。 栽培免許。これは、農家のための免許である。 研究者免許。これは、主に大麻を麻薬として取り締まるための警察用の 免許である。 研究者免許は、276名いる。(1999年1月1日現在厚生省医薬安全局麻薬 課より)有効期間は、免許を取得した日からその年の12月31日までである。 免許は、1年毎に更新が必要となる。 免許申請者の手数料は、現在6700円でかかる。 法律は、免許を与えないものとしては、以下のように定められている。 ・麻薬、大麻又はあへんの中毒者 ・禁固以上の刑に処せられたもの ・禁治産者、準禁治産者又は未成年者 ここでいう中毒者とは、社会的に生活ができない人のことを指している。

大麻取扱者免許の取得フローチャート
ステップ1.栽培予定の農地の確保 日本の農業は、担い手の減少及び高齢化しており、衰退する産業となっている。 そのため、日本の食糧自給率は、42%しかない。 農地は、原則として法律上、農業者でない人がそれを売ったり、買ったりできない。 そのため土地の確保が容易ではない。あなたは、昔からの農業者と協力するこ とを考えるかもしれない。「大麻は、麻薬である」という偏見が定着しているので、 その誤解を説かなければならない。しかし、農地の確保のための、唯一のよい方 法がある。それは、比較的理解のある有機農民に協力してもらうこととである。

ステップ2.栽培目的、生産物の利用方法の明確化 もし、あなたが、研究目的ではなく、農業をするならば、行政に提出する申請用紙 は、種子と繊維の利用のどちらかを選ぶ必要がある。両方選んでも特に問題はな い。そして、作物をどこに販売するのかを決めなければならない。 なぜなら、売り先がないならば、作る必要もなく、あなたに免許を交付する必要も ないからだ。

ステップ3.県行政当局に免許取得の趣旨説明 薬務課や麻薬課が大麻取締法を管轄している。 この部署は、文字通り普段から大麻を麻薬として取り締まっているところである。 あなたは、勇気をもって「大麻を栽培したいのです」と言わなければならない。 あなたの発言は、全く理解してもらえないかもしれない。 しかし、法律は、種子と繊維を収穫するための栽培を認めている。 大麻農業の海外事例を紹介しよう。特にフランス、ドイツ、イギリス、カナダなど。

ステップ4.大麻取扱者免許申請用紙を行政当局に提出 はじめて申請する場合なら、医者の診断書が必要となる。 あなたは病院で「私は麻薬の免許取得のため医者の診断書がほしい」と言う。 あなたは、なぜこのようなことをしなければいけないのかと怒るかもしれない。 はじめの一回だけの苦痛なのでこれくらいは我慢しよう。 現状では、以下の書類が必要となる。 ・申請の目的、栽培者の名前、栽培する場所、面積を記入した申請用紙 ・医者の診断書 ・法律違反しないための誓約書 ・販売先の証明書類 (販売先の法人登記簿など)

ステップ5.行政当局による栽培地の視察 どういうところで産業用大麻を栽培するのかを見るために視察にくるであろう。 場合によっては、このプロセスはないかもしれない。   薬物乱用の恐れ、   保健衛生上の問題、   管理上盗難の恐れ この3つの基準は、法律には明記されていないが、法律の解釈として存在する。 このことは、農地を柵で囲むことを必要とするかもしれない。 ステップ6.厳正な審査を経て免許状の発行。 申請用紙を提出してから免許状の発行まで、約1ヶ月程度かかる。 おそらくそれらのことは、前例のないので、行政は免許を発行しないかもしれない。 もし、免許が発行されなかったら、免許を申請した人は、裁判所で争うことになる。 実際に1件がそのような状況になっている。

大麻栽培の課題とこれから
我々は、法律の規制があること、農業衰退していること、そして、少ない大麻情報 という状況のため容易に産業用大麻を栽培できない。そして、我々は、産業用大 麻を栽培するための種子の確保が問題となる。唯一、栃木県(今でも栽培されて いる地域)の農業試験場がトチギシロという低THCの品種の育種・管理をしている。 今のところ、この農業試験場は、県外の農家への種子の提供を拒否している。 そのため、栃木県以外で低THC品種の種子を確保することが難しい。 我々は発芽しないように熱処理されていないと大麻種子を法律上、輸入できない。 我々は、この問題を解決しない限り、この日本で栽培を復活させる動きになかな かならない。しかし、明るい動きもある。 2000年8月に国際雑穀食シンポジウムを日本で開催する。 日本人の主食は、お米である。 この事実は、我々の長い歴史をみれば、最近の習慣である。 それまで、我々の祖先は、長い間、foxail millet,proso millet,barnyard millet,buckwheats の雑穀を多く食べていた。そのような雑穀を栽培する地域もかなりあった。 日本のベジタリアンは、その雑穀に注目している。 そして、彼らは、穀物と少しの野菜を中心とした食生活を実践をしている。 この雑穀と麻の実は、料理の相性がよく、とても美味しい。 それは、栄養価の高い食材として今後注目されるだろう。 大麻の普及には、食材としてのよさを多くの人に知ってもらうことがカギになりそうである。

最後に
大麻は、1万年前からお付き合いしてきた植物である。 法律ができてから50年間で日本人と大麻の関係は、ほとんど途切れてしまっている。 日本で麻を巡る状況は、一筋縄ではいかない。しかし、関心のある方が様々な分野で 取り組むことによって、それらが少しずつ形になっていくだろう。このレポートでは、普 及するときの問題点を数多く指摘している。その問題点を解決していくことが、新しい 大麻の役割と価値を広げていく一歩となるにちがいない。

by Yoshiyuki Akahoshi ([email protected])
WWW: http://www.netlaputa.ne.jp/~akahoshi/
「農のあるライフスタイル&まちづくり&バイオマス文化産業」

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